「地域をつなぐコリンタ号」=矢板市地域共助型生活交通=
全国では地域の需要に対応する新しい交通形態として、地域住民が主体となった《地域共助型生活交通》の導入が進んでいます。
地域共助型とは、バス・タクシー等公共交通機関で住民の移動手段が確保できない地域に、NPO法人等の団体で非営利な範囲の運送対価のもと、自家用自動車を使って運送します。
身体障害者の移動手段のための「福祉有償運送」等定めた自家用有償旅客運送に基づき、平成18年道路運送法を改正。本県でも導入に向け、同30年10月ガイドラインを作成。
私は地元足利市での必要性に鑑み、先進地の富山県高岡市視察等を経て同年12月議会で、本県での導入の必要性や県の積極的な支援等提言してきました。しかし、導入への住民合意や組織体制、運行計画、運転手の確保、経理事務等、地域が主体的に行うことから、導入例はありませんでした。
そうした中、本年10月矢板市が導入したことから、会派で現地調査を実施。同市は昨年、「地域公共交通網形成計画」を策定し、中心市街地を除く地域へデマンド交通導入を計画。一部地域から「定時定路線型バス」を継続要望され、JR片岡駅への定刻移動や片岡小学校児童の下校利用等が見込まれ、市から地域共助型生活交通の導入を提案した。
市は昨年9月以降、コリーナ矢板・玉田行政区への事業説明を始め、栃木運輸支局・県交通政策課等関係機関との事前協議を進めてきた。今年3月両行政区総会で事業承認され、運行内容や組織体制作りと住民周知を行い、7月県交通政策課へ登録申請に至る。
緊急事態宣言解除を待って、記念セレモニーを10月16日実施。運行地域内は370世帯・767人が居住、65歳以上は約54%おり、下校時に利用する小学生は約30人になります。運行は月曜から金曜、ルートは地区公民館からJR片岡駅まで片道15分のルートを1日8便。料金は小学生(未就学児無料)・75歳以上が1回100円、中学生から75歳までは1回200円、3,000円で年間パスも用意。
路線上であれば降車時のみ、周辺交通に支障なく、安全が確保されれば途中下車を認め、衆議院選挙投票日には臨時運行を行った。運転者14名確保し専ら7人が従事、車両は市が7人乗りをリース(月62,700円)し無償貸与。年間補助金250万円を上限とし、運転者謝金や車両維持費、運行団体諸経費に充てる。別途燃料代は年間50万円限度の実費支給、乗車料金は団体の収入とする。
現在までの利用状況は1日平均約10人、利用の多い時間帯は小学生の下校時間であるが、1日通じた世代別利用は大人が約76%を占める。利用見込みと実績の比較や今後利用者が減少した際の団体が担う事務負担の懸念、運行継続の目安となる利用分岐点等質疑を行いました。
矢板市総務課並びに市議会事務局の皆さまには、調査受入れと丁寧な説明をいただきありがとう