「森林・木材利活用で脱炭素社会」=日経SDGsフェス=
SDGs達成に向けた活動を推進するプロジェクトとして、東京駅前、大手町・丸の内・有楽町地区(以下「大丸有エリア」)を起点に、大丸有エリア内外の企業・団体が連携し2020年始動した。
昨年までに協賛企業数246社、講演数は330セッションに及び、今年度も先ごろ《日経大丸有SDGsフェス》により、「エシカル消費」「水素」「ゼロエネルギー建物」等に関するフォーラムを開催。
今回、私は都内日経ホールでの「森林・木材利活用による脱炭素社会実現」特別シンポジウムに参加してきました。東京大学未来ビジョン研究センター高村ゆかり教授の基調講演で始まり、カーボンニュートラル(以下CN)に向け世界は、COP26で気候温暖化対策目標を採択する一方、各地で発生する気温上昇の影響と思われる大規模自然災害を紹介。日本では西日本豪雨や台風19号でそれぞれ3兆円近い経済損失が生じており、気温1℃上昇で「10年に1度の大雨」が近代工業化前の1.3倍で発生と指摘。
2019年まで10年間の取組でも、温室効果ガスの排出量は下方に転じておらず、生物多様性や食料自給への更なる影響が予想され、金融・投資家の市場への投資姿勢も問われていると強調した。
続く天羽隆林野庁長官はSDGs貢献へ、森林・林業・木材産業施策の展開について現状と課題を報告。日本はOECD中3位の世界有数の森林国であるも、森林の半数が50年生でCO2吸収効果が低下しており、伐採により若い木を育てる必要性を訴えた。ウッドショックにより木材価格も改善し、中国への輸出が堅調とのこと。
中高層建築物や低層住宅の木造化、内装木質化による生活環境効果とともに、スマート/デジタル技術活用で作業の効率化、森林環境譲与税による積極的取組、J-クレジット制度等取り入れながらSDGsに資する取組を促した。
その後、サントリーホールディングスの《天然の森》活動や三井物産が国内外で行う森林経営、サラヤの天然由来素材の製品づくりに取組む企業活動等がそれぞれ報告された。
かつて省エネ技術で世界をリードした日本が、CO2削減やCNの取組での遅れが指摘されるものの、先進事例や今後の可能性を大いに知る機会となりました。